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月別アーカイブ: 2025年4月

塩見木工所のよもやま話~第4回~

皆さんこんにちは!

 

塩見木工所、更新担当の富山です。

 

 

🌲 第4シリーズ:家具・建具に使われる素材の種類と選び方

~素材を知れば、空間づくりがもっと楽しくなる~

建具や家具の美しさ・耐久性・印象を左右するのが、何といっても**“素材選び”**です。
同じデザインでも、使う素材が違えば、まったく違う質感・雰囲気・使い勝手になります。

ここでは、実際の建具工事や家具製作でよく使われる素材を紹介しながら、特徴・用途・選び方のポイントをご紹介します。


✅ 1. 無垢材(ナラ・ヒノキ・ウォールナットなど)

 

天然の木材そのものを使用する高級素材。木のぬくもりや風合い、年輪の美しさが楽しめます。

  • 【メリット】
     ◎ 高級感がある
     ◎ 強度が高く、長く使える
     ◎ 経年変化で色味や艶が深まる

  • 【デメリット】
     ▲ 湿気や乾燥により反りや収縮が起こる場合がある
     ▲ コストが高い

特注ドアや造作家具、和室の障子や床の間、玄関収納など、空間の“顔”になる場所にぴったりの素材です。


✅ 2. 突板(ツキイタ)

 

本物の木を0.2~0.5mmほどの薄さにスライスし、合板に貼り付けたもの。

  • 【メリット】
     ◎ 無垢材に近い見た目
     ◎ コストを抑えられる
     ◎ 安定性が高く、反りにくい

  • 【デメリット】
     ▲ 傷がつきやすい
     ▲ 表面を削ると中の合板が出るため再仕上げ不可

デザイン性が求められる収納扉、カウンター、室内ドアなどに多く使用されます。**「本物志向+コスト意識」**のある方に人気です。


✅ 3. メラミン化粧板(樹脂シート系)

 

樹脂を含浸させたシートを合板に貼りつけたもの。 強度と耐水性に優れ、住宅・施設ともに多用されています。

  • 【メリット】
     ◎ キズ・汚れ・水に強い
     ◎ 色柄バリエーションが豊富
     ◎ メンテナンスが簡単

  • 【デメリット】
     ▲ 見た目は本物の木材より若干人工的
     ▲ 硬いため、端部が割れると補修が難しい

洗面所・キッチン・オフィス家具・商業施設の什器など、メンテナンス重視の場所に最適な素材です。


📌 素材選びのコツは「用途」と「バランス」

 

素材には一長一短があります。
どんな空間に、どんな目的で使うのか――を明確にすることが素材選定の第一歩です。

用途 おすすめ素材
高級感・木のぬくもりを出したい 無垢材・突板
コスト重視で機能性を保ちたい メラミン化粧板
湿気の多い場所 メラミン/樹脂系合板
経年変化を楽しみたい 無垢材

📝 まとめ:建具・家具は、素材と施工の“ダブル品質”で決まる!

 

デザイン・素材・施工精度――
この3つが揃ってこそ、美しく、長く使える建具・家具が生まれます。

素材の特性を正しく知り、職人の技術と組み合わせることで、空間に心地よさと機能性を与える施工が実現できるのです。

次回もお楽しみに!

 

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塩見木工所のよもやま話~第3回~

皆さんこんにちは!

 

塩見木工所、更新担当の富山です。

 

 

🛠 第3シリーズ:建具工事の流れ!ドアや引き戸の設置方法

~スムーズな開閉と空間の質感を支える職人の技~

今回は、内装工事の中でも“空間の完成度”に大きく関わる建具工事について詳しくご紹介します。

建具とは、ドア・引き戸・障子・ふすま・サッシなど、空間の仕切りや出入口を形成する可動式の部材を指します。見た目の印象はもちろん、使いやすさ・防音性・断熱性などにも大きな影響を与える、非常に重要な仕上げ工事です。

とくに最近では、デザイン性の高い建具やバリアフリーに配慮した仕様など、機能性と美観を両立した建具が求められています。


🔧 建具工事の基本的な流れと施工ポイント

 

✅ 1. 建具の種類と開閉方式を決定

 

まずは、使用場所や動線、空間デザインを考慮しながら、適切な建具の形式を選びます。

  • 開き戸(片開き・両開き):最も一般的で、住宅のトイレや個室のドアなどに多く使用されます。

  • 引き戸(片引き・引き違い・引き込み):開閉スペースが少なく、バリアフリーにも対応しやすいため、高齢者施設やリビングで人気。

  • 折れ戸:収納スペースや脱衣所など、コンパクトに開閉できるのが特徴。

  • 吊戸(上吊り式引き戸):下にレールがなく掃除がしやすいため、最近の住宅で人気です。

使いやすさはもちろんのこと、開閉のしやすさや耐久性にも注目して選定する必要があります。


✅ 2. 寸法確認・開口部の調整

 

建具の種類が決まったら、次は開口部の寸法・水平・垂直をミリ単位で調整します。

  • 下地の狂いを修正し、建具枠を取り付ける準備を整える

  • 枠の厚みや建物の構造体との取り合いをしっかりと計測

  • フローリングや壁材との境界部の納まりを事前に確認

わずかなズレが、扉のひっかかりや不自然な音の原因になるため、ここが最重要の工程のひとつです。


✅ 3. 枠の取り付けと建具本体の据え付け

 

次に、実際の建具枠(木枠・アルミ枠など)を取り付け、丁番やレールを用いて本体を設置していきます。

  • レベルや垂直をチェックしながら仮止め → 本締め

  • 扉がスムーズに開閉するように調整(隙間、戸当たり、遊びの確認)

  • 引き戸の場合は戸車の高さ調整やストッパーの位置決めが重要

  • 音鳴り・閉まりのスピードなど、細かい“動き”の仕上げにこだわる

木製建具や障子などの天然素材は、湿度や季節による伸縮や反りも想定して施工する必要があります。


✅ 4. 建具金物・取っ手・クローザーの取り付け

 

最後に、開閉に関わる金物類の取り付けを行い、施工完了です。

  • ドアノブ・レバーハンドル・鍵

  • ソフトクローザーやドアストッパー

  • スライドレールやサッシのクッション材 など

使いやすさだけでなく、安全性やデザイン性にも直結するため、お客様の要望に合わせた選定と調整が求められます。


🎯 建具工事は「空間の使い勝手」を決める仕事

 

建具は、室内空間を快適に仕切り、空気・音・光をコントロールする役割を担っています。
開閉がスムーズでストレスがなく、美しく納まっているかどうか――それが、建物全体の“完成度”に大きく影響します。

だからこそ、職人の精密な調整と、現場に応じた柔軟な施工判断が不可欠なのです。

次回もお楽しみに!

 

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